2014年4月13日日曜日

イングリッシュ(もといウェルシュ)ブルーベルが咲き始めました

4月も半ばにさしかかると、ブルーベルが咲き始めたのではないかと気になります。近くの森には、野性の英国原種のブルーベルがいっぱいに咲く場所があるのです。英国と書くのは、ここはイングランド州ではなく、ウェールズ州だからです。それも、普段は思い出さないのですが、今週、森へ散歩に出かけた時に、ほぼ1年ぶりに、とある紳士と再会したからです。去年の5月頃、友人と森を歩いていたら、犬を連れたその方と出会いました。歩く方向が同じだったので、歩きながらいろいろな話をしてくださいました。Woodland Trust のボランティアに関わって森の再生の手伝いをしたこと、古代から生きながらえてきた森の植物たちの話、それからブルーベル。

「ブルーベルというと、皆さん、イングリッシュブルーベルと呼びますが、私はウェルシュ(ウェールズの)ブルーベルと呼びたいですね。だってここはウェールズですからね」ウェールズに住んでいると、ウェールズ愛国心に満ちた会話は、そこここで聞かれます。が、この温和な紳士から「ウェルシュ」と聞くと、すんなりと受け入れてしまいました。そういうことがあったので、彼と再会、それもブルーベルの季節に再会したのは、とても感慨深いものでした。

5分ほど、あれこれ話をしながら歩きましたが、しなやかな体で飛び跳ねるグレイハウンドの女の子を連れた紳士とは、森の入口でお別れです。紳士は、犬と陽当たりのよい森の外側の道を、私はブナにおおわれた丘にある森の中のブルーベルを見たいので。
「また、いつか近いうちにお会いするかもしれないですね」
とお互いに挨拶をして別れました。

ブルーベルの花を見つける前に、白く可憐なウッドアネモネの群生に出会いました。


アネモネの原種でしょうか、この小さな可憐な白い花は、直径で4センチもあるかないかというくらいです。しかし、どっこい、結構強いらしく、森の中に圧倒されるほどいっぱい咲き誇っているのです。

ウッドアネモネの群生をいくつも越えていくと、ぼちぼちとブルーベルのうす青い幻想的な花が現れてきました。丘の上部は、まだまだ咲き始めです。丘の上で、ちょこちょことスケッチしました。ブルーベルの咲く時期は、ほんの数週間ですから。

丘を下っていくと、ブルーベルが満開の場所へ出ました。そして、嬉しいことに、去年と同じ場所に、「白い」ブルーベルがありました。なぜか、こういう場面に遭遇すると嬉しいのです。子供の頃から、白いレンゲや4つ葉のクローバーを一生懸命探して、見つかるととても嬉しかったのを思い出します。


森を出ると、再び農地の広がる日なたです。ちょうど朝に耕したばかりのように見える赤土。ふと、向こうの方を見やると、トラクターが止まっています。人っ子一人歩いていないお昼時。トラクターの中で誰かお弁当を食ベているのかしら。いや、たぶん、近くの自宅へ戻って昼食を取っているのでしょうね。暖かかったこの冬、菜の花が咲いていましたが、これから何が栽培されるんでしょう? 麦類か、トウモロコシか、そんなところでしょうね。夏になれば、わかることでしょう。


2014年4月6日日曜日

切り絵:森に春が訪れた

暦は既に4月、早春は過ぎ去ってしまいましたが、残り香(笑)として最近の切り絵作品を紹介します。

森は、植物や動物たちを厳しい冬から守ってくれました。この冬は、比較的穏やかではありましたが。春の花達は、森の周りの陽当たり良い場所から、待ちきれないように我れ先にと咲き始めます。プリムラの優しい控えめなクリーム色の花、スノードロップの清楚な白い花、明るい黄色で気持ちも明るくしてくれるスイセン、その脇で私たちもよ、と主張するような鮮やかなレモン色のレッサーセランディン、そして何だかマイペースなクロッカス。彩りの増えた森はにぎやかになり、動物たちも春の訪れをしっかり感じて動き始めました。



Early Spring Woodland (A3, from original paper cut, processed with GIMP, 2014)

森に春が訪れた1   2014 (A3紙、切り絵原版からGIMP加工)

2014年4月5日土曜日

つかの間の晴れた夕方に

肌寒く切り深い数日が過ぎると、急に春めいてきました。とはいえ、気まぐれな天気はいつものこと、毎日のように通り雨がやってきます。昨日も、朝から曇り空、通り雨という繰り返しの後に、午後遅くから晴れ上がって、さわやかな青空になりました。空気は、湿っぽさが取れ、「これから数時間は絶対に雨は降らない」という感じ。その数時間に、野原の散歩に出かけない手はない、ということで散歩にでかけました。先週の日曜に、夏時間に切り替わり、1時間繰り上がったおかげで、夕方は1時間分明るくなりましたしね。

お気に入りの野原の道には、ゆったりと歩く人たちがありました。私は、まだ冬のコートを引っかけていましたが、みんな薄手のジャケットやら、半袖の人も!息子の友達のご両親に、出くわしました。考えることは同じで、彼らも金曜のゴールデンタイム(まさに、金色に輝く夕方の時間)に散歩に出かけたという訳です。しばし、世間話をしてから、私は別の道を歩き始めました。


スロー Sloe (Blackthorn)

今、野原のあちこちは、小さな白い花が真っ盛りです。ドイツに在住していた頃にも、早春になると、陽当たりのよい場所に同じような白い花を見かけていましたが、最近になって、これがSloe (Blackthorn)という野性スモモの1種だというのを知りました。秋には、この酸っぱい青い小さな実を少し頂戴して、ジェリージャムや、スロージン(ジンをベースにした果実酒)を作りました。春の青空に映える、白い花です。

アレクサンダー Alexsanders
野原などの陽当たりの良い場所には、青々とした草が冬にも増して増えてきました。イギリスには冬にも枯れずに青々とした野草がありますが、春になると清々しくみずみずしい緑に覆われてきます。これもその一つ。見かけは、セロリにそっくりです。私の持っている野草図鑑の数々を駆使してもなかなか分別がつきにくいほど、野性ニンジンの種類は豊富です。ようやく、これがアレクサンダーという名前を持つのがわかりました。もちろん食用にもなるというもので、味も食感もセロリに似ているのだそうです。この日はやめましたが、またの機会に少し頂戴して、食べてみようと思います。

ハシバミ Hazel

ハシバミの木の芽もずいぶんと成長してきました。ヒダヒダの若葉がどんどんと広がってきています。あと1週間ほどで、木の枝はびっしりと若葉で埋まるでしょうね。


小1時間の散歩を終え、終着点のファームまで辿り着きました。まだまだ陽は柔らかい金色の光を放っています。牧場の馬たちは、のんびりと草を食んでいます。牧場の人でしょうか、ピクアップトラックが1台、ゲートまで入ってきてエンジンを止めました。お仕事も終わりなのでしょうか。再び、静かな金曜の晴れた春の夕方です。