2016年1月10日日曜日

睦月*1月: ワラビ Bracken

睦月*1月

ワラビ

白灰色が織りなす繊細美


Pteridium aquilinium
Order: Dennstaedtiales
Family: Dennstaedtiaceae
Genus: Pteridium

シダ目
コバノイシカグマ科
ワラビ属

生育場所:日当たりの良い場所
地域:英国全域


遅ればせながら、明けましておめでとうございます。すでに1月も半ばにさしかかりました。

英国南ウェールズの1月は、12月に引き続き、たいがい雨が多くジメジメしています。今冬は、特に雨がことさら多く、英国イングランド北部などは深刻な洪水、浸水被害が12月から出ています。1月に入っても、さらに通り雨の毎日が続いています。今日などは、アラレまじりの通り雨が何度もあって、気温も下がってきました。もう冬至も過ぎ、立春も近くなってきて、日差しも少しずつ明るくなってくるし、雨はこれくらいにしてほしいです。

昨年の1月のことです。あの時は、雨が降っていなくて、でも曇りがちの肌寒い週末の午後、いつものお気に入りの森へ散歩へ出かけました。

森の入り口と、農地が開けた間の草地で私たちの目を引いたのは、美しい霞みがかったような白灰色のワラビの一群でした。白灰色の枯葉は、周囲の鮮やかな緑の草たちと対照的。(ここ、南ウェールズでは、芝生などの草は、冬の間も枯れずに鮮やかな緑のままなのです)

シンプルな静の美しさです。とてもデリケートな抜け殻のような、きれいに乾燥した前の年の緑の葉は、今は茶色の茎から白灰色の葉を右往左往に垂らしていました。近寄ってみると、そこには、さらに小さな三角が形作る小さなクリスマスツリーのような葉がカギ状に規則正しくならんでいます。それが無数に並び、重なりあって、白灰の世界は幻想的に見えるのです。


日本人にとっては当たり前すぎますが、ワラビはシダ綱に属す植物です。こちらへ来るまで、しかし、知らなかったことは、ワラビは山間部に生えると思っていたら、こちらでは日当たりの良い草地に育つということです。このワラビも、森の入り口の日当たりの良い場所にあります。群生しているところは、多くが荒地(酸性土壌を好むからでしょう)など、低木か草しか生えないような所です。ウェールズなので、そういう場所には羊がよく放牧されています。

英国では、ワラビの若芽は、ほぼ100%無視されています。こちらでは、有毒だという認識が強いからです。そのために、春のワラビ採りの季節になると、悠々と集めることができます。アク抜きさえ、しっかりして、身の丈にあった分だけ旬の味を楽しめたらそれで十分です。ワラビの若芽が出てくるのは、まだまだ先です。