2015年12月14日月曜日

師走ー12月:コトネアスター  Cotoneaster

師走ー12月: コトネアスター

冬色の中に鮮やかな赤


(Cotoneaster horizontalis, 
Order: Rosales, Family: Rosaceae, Genus: Cotoneaster )
(バラ目、バラ科、コトネアスター属)

暗くてじめじめした12月がやってきました。冬至は22日、間もなくです。(冬至を過ぎれば、しかし、また少しずつ日照時間が増えてくる!)うちの庭は、まだ結構、緑の部分が目立ちます。が、大きなトネリコやらフィールドメープルなどの落葉樹は裸になり、ほったらかしにしているアジサイの鮮やかだったピンクの花は、緑灰色がかってスモーキーな渋味を醸し出しています。庭の色が冬色のくすんだ中に、赤い色は映えます。

そろそろコトネアスターの葉っぱも小さな鈴のような実の次に、赤くなってくる頃です。でも今年は、12月も半ばになろうとしているのに、葉っぱの外側辺りの部分しか赤くなっていません。今年の秋も、12月に入ってからも、例年より気温が高く、最低気温が10℃以上の日が多かったからかもしれません。

この版画に描かれている、真っ赤な葉っぱのコトネアスターは今年のものではなく、クリスマスのすぐ後あたりの姿です。普段なら、あちこちの庭先の低い塀などに這わせて見事な枝振りに赤い葉っぱと鈴なりの実を見かけます。うちの庭のコトネアスターは、ほんの少しだけしか実がなりません。周りに背の高い植物がいっぱい茂っているせいでしょうか。
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コトネアスターは、野生ではなく、中国から観賞用に渡ってきたものだそうで、庭や公園などに植わっているのを見かけます。つやつやした厚めの小さな丸い葉っぱが、扇状あるいはシダのように広がった小枝にびっしりとつき、その間に小さな丸い鈴のような赤い可愛らしい実がなります。

昨日、英語版の方を書いていて、庭先へ出てうちのコトネアスターを見ると、なんと、ちょっとしかなかった貴重な(?)赤い実が見事になくなっていました。ちょっと離れたところにあるピラカンサを見ると、やっぱり鈴なりだった朱色の実も、ものの見事になくなっていました。多分、小鳥たちに食べつくされてしまったのでしょう。今年の秋は暖かかったし、食べるものには不自由していないと思ってましたが、そろそろ、小鳥用のエサ入れに、穀物や種を入れてあげる時期がやってきたようです。


霜月ー11月:セイヨウカジカエデ Sycamore

霜月ー11月: セイヨウカジカエデ

大切な思い出の木


(Viburnum lantana, Order: Dipsacales, Family: Adoxaceae, Genus: Viburnum )
(ムクロジ目、ムクロジ科、ガマズミ属)




日本での個展も無事終わり、11月半ばに英国の自宅へ戻りました。毎朝のウォーキングを再開した、霜の降りた寒い朝。いつものコースを歩いていて、湿地帯にかかった小さな木の橋(というには小さすぎるかも)で立ち止まりました。黄色い葉っぱが、風もないのに次から次へと地上へ落ちていました。カレンダーのシカモア(セイヨウカジカエデ)ではない、小判型の葉ですが。木を仰ぎ見ると、木立の上には、澄みきった青空が広がっています。そろそろ、秋も終わりです。

散歩の後半、農家と羊たちが草を食む牧草地の間の木立の下の道にさしかかりました。右手の農家の敷地には、結構たくさんの木(これもシカモアではありませんが)が林のように生えていて、その下で、持ち主らしき男性が、がんじきでせっせと落ち葉を掃いていました。うちのトネリコの大木1本だけでも、かなりの落葉の量だし、広い林のような敷地をがんじきで全部掃くのは無理ではなかろうか。。。

そうして、農家の敷地と道の境に、何本ものシカモアの大木が植わっています。夏には、緑の屋根のように生い茂っていますが、今は、やはり散歩の最初に見かけた黄色い葉のように、はらはらと葉が落ち、道は、黄色い葉っぱ、上の方は青空が透けて、明るく見えます。落ちたばかりの黄色い葉は、そこに太陽の光が当たったように明るいです。雨の多い、ウェールズです。雨が続いて、人や動物たちが踏みつけていくと、茶色く変色して、冬の色になっていきます。冬は間近です。

シカモアの葉は、一見、プラタナスなどの種類かと思われますが、系統としては、カエデの方です。カレンダーには描いていませんが、プラタナスのような球状のタワシのような実ではなく、やはりカエデのように羽根のついた実がなります。

個人的には、シカモアの木は思い出深い木です。引っ越してきて以来、仲良くしていたお隣さんの敷地側にシカモアの大きな木が立っていました。ちょうど、お隣さんの家とうちとの境にです。そして、その反対側に、双子のように、トネリコの大木がうちの敷地側に立っていました。道の方から見ると、双子が寄り添うようにして立っているように見えました。

でも、数年前にシカモアの木は切り倒されてしまいました。うちの側のトネリコも去年、切り倒しました。どちらの木も、建物に近接しすぎて、根が張りすぎ、家の土台を台無しにしてしまうので、切るしかなかったのです。

それでは、あまりに悲しいので、前々からスケッチしていた双子の木を版画(木のポートレートシリーズの中)にして残すことにしました。残念なことに、お隣さんは、お子さんも成長して巣立っていったので、大きな家と庭には手が回らないということで、同じ町内とはいえ、引っ越しされてしまいました。引っ越しする時に、版画の第1枚目を記念に贈りました。

そういう訳で、シカモアの木を見ると、少し感傷的な気分になるのです。

でも、この間、友人が主催者の一人であるレソトの子供達の教育をサポートしようというNPOのクリスマスクラフトフェアに出店していたら、前お隣さんがご夫婦でいらっしゃって、感激の再会。小さな町に住んでいるとはいえ、なかなか会うこともないのです。嬉しかった11月でした。



2015年11月18日水曜日

個展無事終了、みなさま、ありがとうございました



11月4日から8日の5日間、加古川市内にある、器と雑貨moiさんにおいて、初めての個展を開催する機会を頂きました。昨年の一時帰国の際、作品を持ち込み、個展を快諾してくださったmoiさんに感謝の念は尽きません。

そうして、個展開催が近づいてきた時、多くの方々に宣伝をしていただきました。日本から離れた英国に住む私にとって、どれだけ力強く感じたことか。


そういったみなさんのお陰を持ちまして、会期中、毎日、予想以上にたくさんの方々に訪れていただいて、英国から持っていった作品を見ていただくことができました。ありがとうございます。






今回の個展のために作った16品には、和歌山で木工家具製作の工房を営む、林工亘(りんこうかん)さんにお願いした無垢オークの額に入れました。写真や図面やら入りのメールを何度となくやりとりしてできあがった額は、『英国の田園風景を、小さな窓枠から眺める』イメージで、感動しました。ご本人の神吉さんが来てくださって、木の好きな者同士、話がはずみました。ありがとうございます。



今回、moiさんのご提案で、初めての試みとして、切り絵原画も展示しました。本来、切り絵を作るのは、スクリーンプリント(シルクスクリーン)の版下のためで、展示することは考えもしていませんでしたが、展示するならば、黒い紙だけでは味気ないなと思って、ドイツで一般的に紙灯籠に利用する半透明のパラフィン紙で色どりを添えました。額に入れたスクリーンプリントの作品と並べると、全く異なった印象です。



このたびの個展を無事に終えられたのは、さまざまな方々のお陰です。ほんとうにありがとうございました。

英国の自宅へ戻ったら、家のトネリコはすっかり葉を落としていました。カエデが今、落葉の真っ最中。野原を歩くと、すっかり晩秋、その中で、ローズヒップ(野バラの実)の赤があちこちにちりばめられていました。









2015年10月19日月曜日

個展のお知らせ:2015年11月4(水)-5(日):器と雑貨moi(兵庫県加古川市)にて

個展のお知らせ

森と野原の風景 〜英国より〜
when you walk in woods and meadows
期間:2015年11月4日(水)〜 8日(日)
場所:器と雑貨moi
兵庫県加古川市加古川町北在家2482
時間:10:30 am 〜 5:30 pm

東のJR大阪駅から加古川駅まで1時間弱、西の姫路駅からは10分です。駅からは、加古川中央郵便局をめざして徒歩約10〜15分、郵便局のお隣にmoiさんのギャラリーと店舗があります。

このたび、日本にて個展を開く機会を器と雑貨moiさんに作っていただきました。ありがたい限りです!

moiさんのギャラリーは、加古川まちかどミュージアム(10月31日〜11月8日)の会場の一つになります。期間中、加古川市の他、近隣の高砂市や播磨町、稲美町にも会場が設けられ、地域で活躍されているアーティストやさまざまな人々の参加でにぎわいそうです。

メインとなる小作品群の額縁は、和歌山で活動されている木の家具工房 林工亘(りんこうかん)さんに、特別注文で作って頂きました。メールで写真やスケッチ、設計図などを細かくやりとりして、丁寧に作ってくださいました。楽しみです。この小作品シリーズは、木づくりの小さな窓から外をながめているという設定で制作しました。小さな枠の中にどれだけの風景を入れられるか、というのを課題にしたものです。

英国ウェールズの自宅アトリエから、これまでに制作してきた切り絵の原画、それをもとにした限定刷りのスクリーンプリント作品などを日本へ持っていきます。お楽しみに!とはいうものの、私自身も楽しみです。

来年用のカレンダー(壁掛け用、29.8cmx10.5cm)も、今回4年目となる「英国野草カレンダー」(当初は、「葉っぱカレンダー」でしたが)、それに加え、メインの小作品群から抜粋した切り絵カレンダーも用意しています。

たくさんの方々のお越しをお待ちしております!




2015年10月8日木曜日

神無月ー10月:ランタナガマズミ Wayfaring Tree

神無月ー9月: ランタナガマズミ

深まる秋の彩り


(Viburnum lantana, Order: Dipsacales, Family: Adoxaceae, Genus: Viburnum )
(マツムシソウ目、レンプクソウ科、ガマズミ属)



いつの頃からか、秋になると庭の片隅にナンテンよりも大ぶりの赤い実が目につくようになりました。それがWayfaring Tree、和名でランタナガマズミと呼ばれる灌木です。おそらく、鳥たちがやってきて、落としたフンの中に、種が入っていたのでしょう。

結構可能性は高いです。近くの陽当たりのよい、野原や生け垣のあちこちにランタナガマズミの茂みがあるからです。

日本で見られるガマズミとは、少し違います。葉はよく似ています。楕円形で深いしわが刻まれて、裏には白い小さな毛がびっしりと生えています。でも、実は、1.5センチほどで少し平たいのです。そして、夏には緑だった実が、秋が深まるにつれ、赤くなり熟すと濃紫色になります。日本のガマズミの赤い実は食べられるそうですが、こちらのガマズミは、残念ながら人間の口には合わないようです。猛毒はないようですが、食べるとお腹を下したりするようです。きれいな色合いを楽しむだけにして、あとは鳥たちや野ネズミのような小さな動物たちに秋の実りを味わってもらうことにしましょう。

ランタナガマズミの英語での一般的名称は、wayfaring treeです。Wayfaringは、歩いて旅することを意味します。(Fareフェアは、旅をすること。海を旅することは、seafaring。)旅をするなら徒歩だった昔からの言葉です。どうして、ランタナガマズミに、旅をするという言葉がつけられたのか。調べてみたのですが、どうにも見つけられませんでした。昔々、旅人たちは、この実を使って何かのおまじないをしたのか、薬として使ったのか。

(見つけたあかつきには、書き加えます)

ともあれ、10月は秋がいっそう深まっていきます。ランタナガマズミの濃い紫(ほとんど真っ黒)の実も、動物たちが頂くからか、どんどんと枝から消えていきます。穏やかな南東ウェールズでも、朝晩は10℃以下に冷え込むようになっていきます。でも夏時間が終わる10月末までは、まだまだ秋の名残の暖かい日射しを楽しめます。夜になると、そろそろ薪ストーブに火を入れる季節になってきました。

2015年9月1日火曜日

長月ー9月:セイヨウヤブイチゴ Brambles (Blackberry)

長月ー9月:セイヨウヤブイチゴ

(黒イチゴ)

黒いイチゴを採りに野原へ


(Rubus fruticosus, Order: Rosales, Family: Rosaceae, Genus: Rubus )
(バラ目、バラ科、キイチゴ属)




セイヨウヤブイチゴ、「bramble 」(ブランブル)は英語ですが、これはゲルマン語(おそらく、ドイツ語などをはじめとする西ゲルマン語)の「brom」(ブロム)から派生した言葉だそうです。これは、「トゲのある灌木」を意味します。(アデーレ・ノゼンダーAdele Nozendar著 The Hedgerow Handbook, Square Peg出版, 2012) ドイツ語では、「Brombeeren」(ブロムベーレン)と呼びます。ブランブルは、そのつやつやした、ほとんど黒に近い紫紺色の実から、ブラックベリーとも呼ばれます。日本のケーキやデザートにもよく使われ、ブラックベリーと呼ばれる方が馴染み深いでしょうね。

ブラックベリーは、8月の初め頃から色づき始めます。花が終わった後、実が大きくなってきて、黄緑から徐々に赤、ワインレッド、紫、最終的には黒に近い紫色に熟します。この辺りでは、8月半ばあたりから9月いっぱいまで、お天気が良く乾燥した日が続けば10月まで、収穫を楽しめます。ここ南ウェールズでは、とても一般的な野性の食材の一つだと思います。

ブラックベリーの果実、正確にはたくさんの小さな果実が集まった「集合果」と呼ばれるそうです。「核果」と呼ばれるものは、実のまん中に種があるモモやサクランボ、アーモンドなどのような果実を指します。ブラックベリーは、その小型、「小核果」がたくさん集まった果実。ラズベリーもそうですが、ぷちぷち丸い個別の実の中には必ず小さな種が入っています。この小さな種、胃酸にも耐えるほど強者なのだそうです。実を食べた鳥や動物たちの胃の中で種だけが残り、排泄され、様々な場所へ種が運ばれていくのです。

ブラックベリーは、古くは石器時代から存在していた古代植物でもあります。石器時代の人間の胃から、ブラックベリーの種が発見されたという記録があるそうです。
(The Woodland Trust ウッドランド・トラストという英国で全国的に活動する森林保護団体のウェブサイト) 

そういうわけで、ブラックベリーは、野原、生け垣、ほったらかしになっている空き地、森などあらゆる場所に繁っているのを見かけます。頑強というか、どこにでも侵入していくので、手入れをさぼっていると、あっという間に庭にもはびこっていきます。いったん庭に生えると、もう大変。

とはいうものの、鋭い鉤状のトゲがついた葉や茎が私たち人間や他の動物たちを遠ざける一方で、他の動物たちを天敵などから守ってくれる役目も果たします。ミソサザイやコマドリといった小鳥や、ヤマネなどの小動物たちは、このご利益にあずかります。(The RSPB 英国で全国的に活動する自然保護団体のウェブサイト)  

暖かい晴れの日が続いたら、大きな容器をもって野原へ出かけます。車や人通りがなく、陽当たりのよい静かな一角に、ブラックベリーが生い茂った場所があるのです。太陽の光をいっぱい浴びて熟した実は、ほんとうに甘くておいしいのです。が、鋭いトゲには要注意。からまった茎にひっかかると、わなにかかった動物のようにもがけばもがくほど、逃れられません。鉤状になっていますから、どこにひっかかっているかを確認して、そろっと鉤の方向へひっかかった所を戻せば、どうにかはずれます。

トゲで怪我をしないよう、分厚い長袖長ズボン、それにしっかりしたウォーキングシューズで出かけます。重厚装備をしていても、やわらかく熟した実を取るのは、素手でないと難しいので、実を摘みにいったら、ちょっとしたひっかき傷は避けられない私です。

手の届く範囲で、できる限り熟れたブラックベリーを採集しますが、陽当たり良好、大きくておいしそうな実は、トゲの森の一番てっぺん、私たちの手の届かない所にあります。小鳥たちが秋が終わるまで、これらを十分に堪能する訳ですね。うらやましいなあ、と毎度恨めしげに眺めるだけです。でも、私たちも堪能するだけの分は十分頂いているので、ぜいたくなことです。

容器いっぱいの実を積んだら、家に持ち帰り、さっそくジャム作りです。ジャム作りは、夫の担当?です。まず、小さいけれど固い種を取り除くために、ブレンダーでピューレ状にし、それを漉し器で種を漉します。それからは、他のジャム同様に、砂糖を加え煮ます。ペクチンは入れる必要はありません。

昨年の秋、ニワトコの実のコーディアル(シロップ)を作った後、ブラックベリーでもできるのではないかと思い立ち、同じ要領でコーディアルを作ってみました。熱々のシロップをガラス瓶に詰めたばかりの時点で、上出来だ!と思ったのですが。。。冷めてみると、何とガラス瓶の中でゼリーになってるではありませんか。ブラックベリーが、リンゴなどの果実のようにペクチンが豊富に含まれているとは知らなかったのです。幸いなことに、ゼリー状とはいえ、柔らかく、瓶を振ると濃いめのどろりとした液体になったので、子供たちも飲んでくれて、めでたく全部消費されました。

リンゴのクランブルといえば、オーブンで手軽に作れる英国の家庭のおやつです。クランブルは、名の通り、ぱらぱらした状態のことを指し、バターと砂糖、小麦粉のクッキー生地をバラバラくずして季節の果物の上にふりかけ、オーブンに入れると、クッキー生地の部分がこんがり香ばしく、中身の果物は柔らかく焼けます。ゴミや小さな虫などを取り除いてきれいにしたブラックベリー、それに一口大に切ったリンゴを耐熱皿に並べ、ぱらりと砂糖をふりかけます。私のクランブルには、アーモンドやヘーゼルナッツのざく切りとオーツ麦の押し麦を入れ歯触りをよくします。焼きたての熱々に、自家製バニラソースをかければ大満足。

9月に入ると、目に見えて日が短くなってきたのがわかります。雨の降る日も多くなってきます。今年の夏は、寒がりの私が暑いと感じる日が少なかったのです。つまり気温が20℃以上になる日、半袖で過ごせる日ということですね。そういう夏の後は、暖かい秋が待っているかもしれない、この辺りに住んでいる人たちは期待します。今日、9月1日は、昼過ぎまで晴れたり曇ったり。それが急に黒い雲が北西から流れてきてあっというまに、どしゃぶりの通り雨。でも再び太陽が顔を出しました。

晴天の暖かい日が続いたら、野原へブラックベリーを摘みにいきますよ。

2015年8月7日金曜日

葉月ー8月:アカツメクサ Red Clover August 2015

葉月ー8月:アカツメクサ

真夏の野原に咲く 薄紅色の花


(Trifolium pratense, Order: Fabales, Family: Fabaceae, Genus: Trifolium )
(マメ目 マメ科 シャジクソウ属)



8月の半ば、野原の色は黄色みを帯びて秋めいてきます。ニンジン科の種は黄色や茶色に色づき、シバ科の草は黄色くなってきます。でも、まだまだ草花は彩り鮮やかに咲き乱れています。ミツバチやチョウは、いそがしく花から花へと飛び回ります。

そんな野原のあちこちに、薄紅色のアカツメクサが咲いています。おなじみのシロツメクサは、どちらかというと芝生の中に群生していますが、アカツメクサは、いろいろな野草が生えている草ぼうぼうとした野原に多く見かけます。

アカツメクサと呼ばれますが、花は、赤というより、薄紅、淡いピンク色から濃いピンク色のグラデーションです。花も、一つの花が豪華に咲くのではなく、小さな花が集まって花房を形づくって、一つの花のように見えるのです。その小さな花の一つ一つは、エンドウ豆の花と同じに見えます。マメ科の植物なのですから。

夕方の野原を歩いている途中、アカツメクサの花を一つ採って、小さな花の下の方を吸ってみました。ほんの少し、甘い花蜜の味と香りがしました。子供の頃、サルビアの花の蜜を吸ったものだ、と思い出しました。

楕円の葉は、軸を中心に3つ葉になっていて、葉の中心辺りに、三日月型の白い斑があります。(シロツメクサは、丸い葉です)

他のマメ科の植物のように、土壌を肥沃にする窒素を固定してくれる作用があるために、牧草地や農地に生えていることもあります。しかし、日本でもこちら英国でも、どこにでも見かけるアカツメクサ、葉も花も食べられるというのは、今まで知りませんでした。(同じマメ科のスイトピーは、毒があり食べられないのでご注意を)

Adele Nozendar 著、The Hedgerow Handbook (Square Peg出版, 2012年)に、アカツメクサのレシピが載っています。他のエディブルフラワーと同じく、花をサラダに散らしたりして食べることができます。でも、花をご飯の中に混ぜ込むレシピというのは思いつきませんでした。味つけは、塩と砂糖を少々、それだけです。ほのかな花の香りの漂う混ぜご飯、夏なら、豚肉の生姜焼きなど焼き肉料理に合いそうです。ちなみにクローバーの柔らかい葉もサラダに入れたり、ニンニクと玉ねぎと一緒に炒めて食べるとおいしいそうです。マメ科の葉っぱだし、さわやかな甘味のあるさっぱりした食感でしょうね。

この本には、「アカツメクサのレモネード」(これは、香りのあるエディブルフラワーなら、同じレシピで作ることができます)と「アカツメクサとアーモンドのビスケット」のレシピが載っていますが、かなりの量の花が必要です。でも、野原にたくさん咲いているアカツメクサの花、多いに活用できます。

アカツメクサ(シロツメクサでもよい)には、時々2つ葉のクローバーが混じっているそうです。古い言い伝えによると、この2つ葉のクローバーは結婚につながるそうです。未婚の少女が2つ葉クローバーを見つけ、それを持って帰ると、その後、最初に出会った男性と結婚する運命になるという。今の時代もそうであれば、どんなにロマンチックでしょう。

(追記)
カレンダーのブログにこれまでも引用してきた、シシリー・メアリー・バーカー(Cicely Mary Barker)の『花の妖精全集』(
The Complete Book of The Flower Fairies, 2002年, 初版は1923年)に、アカツメクサの妖精の詩(歌)が載っています。

アカツメクサの歌
妖精:
あれ?なんて大きなハチさん!
私のところに来てくれたのね!
私の蜜を探しにきてくれたのね
なんて大きなハチさん!

ハチ:
まあ、なんて大きなクローバー!
私は、しっかり隅から隅まで探しますよ
そうして、蜜をぜーんぶ集めます
なんて大きなクローバー!

アカツメクサの妖精は、薄紅色のギザギザスカートを履いて、頭にスカーフを巻いたくせ毛で赤毛の小さな女の子。アカツメクサの葉っぱに足をちょこんとのせ、花の蜜を一心に求めているハチ(クマバチ)を、興味津々の顔で見つめています。中世の迷信では、愛を結ぶ花として伝えられていますが、シシリー・メアリー・バーカーは、可愛らしい無邪気な女の子のイメージでとらえています。



***** Adele Nozendar's 'The Hedgerow Handbook'のレシピより *****

アカツメクサのレモネード(Red Clover Lemonade)
約1ℓ作れます
新鮮なアカツメクサの花 750g 
水 500ℓ
ハチミツ(あるいは砂糖) 500g
レモン 2個分の果汁

1. アカツメクサの花を、沸騰させた湯に入れ、ふたをし、弱火で10分煮る。入れた後、沸騰させる必要なし。その後、ハチミツ(あるいは砂糖)を加え、溶けるまでかき混ぜる。
2. 火からおろし、ふたをし、最低数時間から一晩そのまま置く。
3.  置いて、香りをなじませた液体に、レモン果汁を加え、冷蔵庫で冷やす。
4.その後、きれいな晒し布などで漉し、殺菌したきれいな瓶へ移す。飲む際、好みの量をグラスへ入れ、好みで氷も入れ、そこに水を加えて希釈する。あれば、レモンの輪切りや、クローバーの花を散らしてできあがり。 

アカツメクサとアーモンドのビスケット(Red Clover Almond Biscuits)
25個作れます
全粒小麦粉 380g 
ベーキングパウダー 小さじ3
アーモンド 100g 
無塩バター 100g 
卵 2個
バターミルク 120ml (牛乳とプレーンヨーグルトを半々で混ぜたものを代用できます)
アーモンドエッセンス 小さじ1/4(なければ、必要なし)
新鮮なアカツメクサの花 287g (花房をバラバラにほぐしておく)

1. オーブンを、230 ℃(ガスオーブンは8)に加熱しておく。
2. フードプロセッサーで、小麦粉、ベーキングパウダー、アーモンドを同時に粉砕する。
3. フードプロセッサーにバターを加え、ぱらぱらした生地になるまで撹拌する。
4.  卵、バターミルク、アーモンドエッセンス、アカツメクサの花を加える。
5. フードプロセッサーで生地がまとまるまで撹拌する。
6. 生地をロールで1㎝ほどの厚さに伸ばす。
7. 5センチ四方の正方形に切り、ベーキングシートを敷いたトレイに並べ、10〜15分間焼く。