2015年8月7日金曜日

葉月ー8月:アカツメクサ Red Clover August 2015

葉月ー8月:アカツメクサ

真夏の野原に咲く 薄紅色の花


(Trifolium pratense, Order: Fabales, Family: Fabaceae, Genus: Trifolium )
(マメ目 マメ科 シャジクソウ属)



8月の半ば、野原の色は黄色みを帯びて秋めいてきます。ニンジン科の種は黄色や茶色に色づき、シバ科の草は黄色くなってきます。でも、まだまだ草花は彩り鮮やかに咲き乱れています。ミツバチやチョウは、いそがしく花から花へと飛び回ります。

そんな野原のあちこちに、薄紅色のアカツメクサが咲いています。おなじみのシロツメクサは、どちらかというと芝生の中に群生していますが、アカツメクサは、いろいろな野草が生えている草ぼうぼうとした野原に多く見かけます。

アカツメクサと呼ばれますが、花は、赤というより、薄紅、淡いピンク色から濃いピンク色のグラデーションです。花も、一つの花が豪華に咲くのではなく、小さな花が集まって花房を形づくって、一つの花のように見えるのです。その小さな花の一つ一つは、エンドウ豆の花と同じに見えます。マメ科の植物なのですから。

夕方の野原を歩いている途中、アカツメクサの花を一つ採って、小さな花の下の方を吸ってみました。ほんの少し、甘い花蜜の味と香りがしました。子供の頃、サルビアの花の蜜を吸ったものだ、と思い出しました。

楕円の葉は、軸を中心に3つ葉になっていて、葉の中心辺りに、三日月型の白い斑があります。(シロツメクサは、丸い葉です)

他のマメ科の植物のように、土壌を肥沃にする窒素を固定してくれる作用があるために、牧草地や農地に生えていることもあります。しかし、日本でもこちら英国でも、どこにでも見かけるアカツメクサ、葉も花も食べられるというのは、今まで知りませんでした。(同じマメ科のスイトピーは、毒があり食べられないのでご注意を)

Adele Nozendar 著、The Hedgerow Handbook (Square Peg出版, 2012年)に、アカツメクサのレシピが載っています。他のエディブルフラワーと同じく、花をサラダに散らしたりして食べることができます。でも、花をご飯の中に混ぜ込むレシピというのは思いつきませんでした。味つけは、塩と砂糖を少々、それだけです。ほのかな花の香りの漂う混ぜご飯、夏なら、豚肉の生姜焼きなど焼き肉料理に合いそうです。ちなみにクローバーの柔らかい葉もサラダに入れたり、ニンニクと玉ねぎと一緒に炒めて食べるとおいしいそうです。マメ科の葉っぱだし、さわやかな甘味のあるさっぱりした食感でしょうね。

この本には、「アカツメクサのレモネード」(これは、香りのあるエディブルフラワーなら、同じレシピで作ることができます)と「アカツメクサとアーモンドのビスケット」のレシピが載っていますが、かなりの量の花が必要です。でも、野原にたくさん咲いているアカツメクサの花、多いに活用できます。

アカツメクサ(シロツメクサでもよい)には、時々2つ葉のクローバーが混じっているそうです。古い言い伝えによると、この2つ葉のクローバーは結婚につながるそうです。未婚の少女が2つ葉クローバーを見つけ、それを持って帰ると、その後、最初に出会った男性と結婚する運命になるという。今の時代もそうであれば、どんなにロマンチックでしょう。

(追記)
カレンダーのブログにこれまでも引用してきた、シシリー・メアリー・バーカー(Cicely Mary Barker)の『花の妖精全集』(
The Complete Book of The Flower Fairies, 2002年, 初版は1923年)に、アカツメクサの妖精の詩(歌)が載っています。

アカツメクサの歌
妖精:
あれ?なんて大きなハチさん!
私のところに来てくれたのね!
私の蜜を探しにきてくれたのね
なんて大きなハチさん!

ハチ:
まあ、なんて大きなクローバー!
私は、しっかり隅から隅まで探しますよ
そうして、蜜をぜーんぶ集めます
なんて大きなクローバー!

アカツメクサの妖精は、薄紅色のギザギザスカートを履いて、頭にスカーフを巻いたくせ毛で赤毛の小さな女の子。アカツメクサの葉っぱに足をちょこんとのせ、花の蜜を一心に求めているハチ(クマバチ)を、興味津々の顔で見つめています。中世の迷信では、愛を結ぶ花として伝えられていますが、シシリー・メアリー・バーカーは、可愛らしい無邪気な女の子のイメージでとらえています。



***** Adele Nozendar's 'The Hedgerow Handbook'のレシピより *****

アカツメクサのレモネード(Red Clover Lemonade)
約1ℓ作れます
新鮮なアカツメクサの花 750g 
水 500ℓ
ハチミツ(あるいは砂糖) 500g
レモン 2個分の果汁

1. アカツメクサの花を、沸騰させた湯に入れ、ふたをし、弱火で10分煮る。入れた後、沸騰させる必要なし。その後、ハチミツ(あるいは砂糖)を加え、溶けるまでかき混ぜる。
2. 火からおろし、ふたをし、最低数時間から一晩そのまま置く。
3.  置いて、香りをなじませた液体に、レモン果汁を加え、冷蔵庫で冷やす。
4.その後、きれいな晒し布などで漉し、殺菌したきれいな瓶へ移す。飲む際、好みの量をグラスへ入れ、好みで氷も入れ、そこに水を加えて希釈する。あれば、レモンの輪切りや、クローバーの花を散らしてできあがり。 

アカツメクサとアーモンドのビスケット(Red Clover Almond Biscuits)
25個作れます
全粒小麦粉 380g 
ベーキングパウダー 小さじ3
アーモンド 100g 
無塩バター 100g 
卵 2個
バターミルク 120ml (牛乳とプレーンヨーグルトを半々で混ぜたものを代用できます)
アーモンドエッセンス 小さじ1/4(なければ、必要なし)
新鮮なアカツメクサの花 287g (花房をバラバラにほぐしておく)

1. オーブンを、230 ℃(ガスオーブンは8)に加熱しておく。
2. フードプロセッサーで、小麦粉、ベーキングパウダー、アーモンドを同時に粉砕する。
3. フードプロセッサーにバターを加え、ぱらぱらした生地になるまで撹拌する。
4.  卵、バターミルク、アーモンドエッセンス、アカツメクサの花を加える。
5. フードプロセッサーで生地がまとまるまで撹拌する。
6. 生地をロールで1㎝ほどの厚さに伸ばす。
7. 5センチ四方の正方形に切り、ベーキングシートを敷いたトレイに並べ、10〜15分間焼く。