2016年2月1日月曜日

如月*2月: ヒナギク Daisy

如月*2月

ヒナギク
Daisy

小さくてもしっかり者の白いヒナギク


Bellis perennis
Order: Asterales
Family: Asteraceae
Genus: Bellis

キク目
キク科
ヒナギク属

生育場所:日当たりの良い草地
地域:英国全域


デイジー、あるいはヒナギクといえば、日本では栽培品種が一般的ですが、英国をふくむヨーロッパでは、野生のデイジーが日当たりのよい庭の芝生や、草地に生えています。タンポポと同じくらい、普通にどこでも生えています。ずいぶん前、ヨーロッパに来て初めて白い小さなかわいらしい花が公園の芝生に咲いているのを見て、感動しました。そのうちに、あまりにも当たり前に、あちこちに生えているので、あの頃の感動は薄れてしまいましたが。

白い小さな花は、直径3センチにも満たないほどで、緑の肉厚の葉は地面に放射線状にしっかりと広がって生えています。その真ん中から、細い茎が伸び、花が次から次へと咲いていきます。1セットのデイジーは隣同士くっついて増えていきます。庭の芝生には、いつの間にかデイジーのコロニーがあちこちにできて、花ざかりの初夏などは庭が白い花でいっぱいになります。とはいえ、コロニーは芝生の生えるすき間を与えないので、芝生はどんどん退化していくので、なんとも複雑な心境です。芝生の手入れをしていないということです。

ヒナギクは、春から秋まで次から次へと花が咲き続けます。冬でも気温が零下になることがめったにないウェールズの南東部(ロンドンから西へ200㎞ほど)のこの辺りは、春の訪れが早く、ヒナギクも2月あたりから咲き始めます。

日当たりのよい場所に咲くヒナギク、朝日が昇って太陽の光が当たると、白い花弁は次第に開いていきます。そうして、夕方になり気温も下がってきて太陽が沈む頃には、いつの間にか小さな丸い花は花弁を閉じます。

日本では、クローバーやレンゲの花かざりを作るのが子供の頃の思い出にあります。こちらでは、クローバーに、デイジーの花かざりを作るのが一般的です。芝生のある公園などを歩いていると、親子で花かざりを作っているのを見かけたりします。ちっちゃな子供が、白いデイジーの髪かざりをつけているのを見ると微笑ましいです。私は、クローバーの花を一つずつ花冠を引っかけて編んでいっていましたが、こちらの人たちは、デイジーの花の茎の下の方に爪かピンか何かですき間を作り、そこにもう一つのデイジーの茎を通して花冠を留めるというやり方をしています。はかなげな花かざりのできあがり。

英国の挿絵画家、シシリー・メアリー・バーカー(Cicely Mary Barker 1895-1973)は、日本でもよく知られた「花の妖精シリーズ」の「春編」で、デイジーの妖精を描いています。デイジーの花かざりを頭につけた、小さな女の子です。その妖精の詩には、赤ちゃんの花とあります。そう、白い純真な赤ん坊のようなデイジーの花、でも実は、生命力おう盛でめったなことで枯れたりしない、力強い野草なのです。



The Song of the Daisy Fairy

Come to me and play with me
I'm the babies' flower;
Make a necklace gay with me,
Spend the whole long day with me,
Till the sunset hour.
I must say Good-night, you know,
Till tomorrow's playtime;
Close my petals tight, you know,
Shut the red and white, you know,
Sleeping till the daytime.

(from Flower Fairies of the Spring by Cicely Mary Barker, The Complete Book of the Flower Fairies, Warne, 2002)