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2016年4月7日木曜日

春の切り絵スクリーンプリント:「森のブルーベルと小さなネズミたち」

New! スクリーンプリント


'森のブルーベルと小さなネズミたち'

10 x 10 cm (21 x 21 cm 無漂白紙 270gsm)

3色刷り(水性アクリル絵具)

春をテーマにした新しいスクリーンプリントがようやくできあがりました。

新しいシリーズを作るにあたり、サイズをどうしようか考えた末、やはり正方形(10x10cm)の小さな作品を続けて制作することにしました。昨秋の個展に合わせて制作した小作品シリーズは、2色刷りでしたが、今回は1色増やして、3色刷り色刷りにします。写真では、黒に見える背景は、実はこげ茶色です。

オリジナルの切り絵の制作完了した後、コンピュータに画像を取り入れて、着彩パターンを作って、カーディフ市内(英国ウェールズ州の州都)にあるスクリーンプリント工房を持つ「Printhaus 」へ、スクリーンプリント作成を委託しました。切り絵やイラストをこなすことはできますが、かなりの力仕事になるスクリーンプリントは、手首を痛めた私には無理なのです。

 Printhaus は、ローカルアーティストを支援する非営利のアーティスト団体です。アート&クラフトフェア開催や、工房と同じ敷地内にあるスタジオに入って制作活動しているアーティストのオープンデー開催、フェイスブックやツイッターで情報発信したりする支援の他、併設のスクリーンプリント工房でワークショップを行ったり、私のようなアーティストのために、スクリーンプリントの代行制作を行ったりするサービスも提供してくれます。私は、スクリーンプリントのワークショップに参加して以来、いろいろとお世話になっています。

新しい作品を出すにあたって、アメリカ発の世界的ネットワークを持つオンライン・アート&クラフトショップサイトEtsyのショップを再開する予定です。(ただし、今のところ、英国内限定ですが)


「森のブルーベルと小さなネズミたち」について:
これは、私のお気に入りの森からイメージした作品です。ブナやトネリコの木が生える森で英国の原種ブルーベルが咲き乱れるのは、4月下旬から5月下旬、ほんのわずかの期間です。(園芸種として普及しているスペイン産ブルーベルの花は、短いベルの形をしていて、原種のブルーベルの花は一回り小さく細長い)

幻想的なブルーベルの花畑に見とれてしまいますが、ここにはどれだけたくさんの生き物たちが棲んでいるのでしょう。冬眠から覚めた小さな野生のネズミたちやらカエルたち、きっと暖かくなってきた森の中で忙しく動き回り始めていることでしょう。遠くの方では、小さな生き物たちがいるのもつゆ知らず、キツネが森の中を足どり軽く歩いているかもしれません。







25枚刷りのうち、1番目は正方形のフレーム(既成)に入れました。A4サイズの短い方(21cm)に合わせてカットしてあるので、長さを調整しなくても既成のフレームに入ると思います。もちろん、オーダーメイドで好きな材質、大きさにするのも良いです。





2015年11月18日水曜日

個展無事終了、みなさま、ありがとうございました



11月4日から8日の5日間、加古川市内にある、器と雑貨moiさんにおいて、初めての個展を開催する機会を頂きました。昨年の一時帰国の際、作品を持ち込み、個展を快諾してくださったmoiさんに感謝の念は尽きません。

そうして、個展開催が近づいてきた時、多くの方々に宣伝をしていただきました。日本から離れた英国に住む私にとって、どれだけ力強く感じたことか。


そういったみなさんのお陰を持ちまして、会期中、毎日、予想以上にたくさんの方々に訪れていただいて、英国から持っていった作品を見ていただくことができました。ありがとうございます。






今回の個展のために作った16品には、和歌山で木工家具製作の工房を営む、林工亘(りんこうかん)さんにお願いした無垢オークの額に入れました。写真や図面やら入りのメールを何度となくやりとりしてできあがった額は、『英国の田園風景を、小さな窓枠から眺める』イメージで、感動しました。ご本人の神吉さんが来てくださって、木の好きな者同士、話がはずみました。ありがとうございます。



今回、moiさんのご提案で、初めての試みとして、切り絵原画も展示しました。本来、切り絵を作るのは、スクリーンプリント(シルクスクリーン)の版下のためで、展示することは考えもしていませんでしたが、展示するならば、黒い紙だけでは味気ないなと思って、ドイツで一般的に紙灯籠に利用する半透明のパラフィン紙で色どりを添えました。額に入れたスクリーンプリントの作品と並べると、全く異なった印象です。



このたびの個展を無事に終えられたのは、さまざまな方々のお陰です。ほんとうにありがとうございました。

英国の自宅へ戻ったら、家のトネリコはすっかり葉を落としていました。カエデが今、落葉の真っ最中。野原を歩くと、すっかり晩秋、その中で、ローズヒップ(野バラの実)の赤があちこちにちりばめられていました。









2015年6月1日月曜日

水無月ー6月:イエロー・アーチエンジェル Yellow Archangel: June 2015


水無月ー6月:イエロー・アーチエンジェル(ツルオドリコソウ)

夏の始まりを告げる黄色い天使 

(Lamiastrum galeobdolon, Order: Lamiales, Family: Lamiaceae, Genus: Lamium )

(シソ目、シソ科、オドリコソウ属)



6月は、初夏から夏への変わり目です。薄青紫のブルーベルや、純白のワイルドガーリックの花のじゅうたんが、5月の末にかけて色あせて消えていくと同時に、森の中は若々しい緑に覆われていきます。その清々しい緑の森のまわりや、生け垣、原っぱは、次第に鮮やかな夏の花に彩られていきます。

イエロー・アーチエンジェルは、古くからある森の端や、生け垣の日陰に生えています。5月に紹介したハーブ・パリスほどではないですが、それでも貴重な野草の一つです。

シソの仲間なので、日本でもおなじみの青じその葉っぱにも似ていますが、もっと小ぶりです。。近寄ってみると、細かい毛が葉の両面、茎に生えています。雰囲気や大きさは、やはり同じシソの仲間に入る、ミントにさらに似ています。シソやミントのように小さな花とは違い、イエロー・アーチエンジェルはクリーム色のぷっくり丸いつぼみが、ふくらみ、笠つき、赤茶色の模様入りのアームチェアのような花をつけます。茎の周りにぐるりと外向きに、何重にもクリーム色のアームチェアが並んでいるのは、かわいらしいです。想像好きな私は、このアームチェアに、花の妖精たちがしばし羽を休めるために座る姿を思い浮かべます。

イエロー・アーチエンジェルと同じく古代野草のエノキグサ科のドッグス・マーキュリーのぎざぎさしたちょっと三つ葉にも似た緑の葉、濃いピンクの花を咲かせるナデシコ科のレッド・キャンピオン(イギリス英語発音では、カンピオン)、薄紫の花を咲かせるシソ科のグラウンド・アイビー(和名はカキドオシとなっていますが、ウィキペディアの写真は、私の見る実際の花とはちょっと違います)などの間に、イエロー・アーチエンジェルは、日陰になった場所のあちこちにかわいい花を咲かせます。

イエロー・アーチエンジェル。私の持っている20世紀初期に活躍した女流イラストレーターでありナチュラリストであったエディス・ホールデン(Edith Holden)(4月のウッドアネモネ編で紹介しています)の挿し絵入りの本、The Nature Notes of An Edwardian Lady と The Country Diary of An Edwardian Ladyには、異なった名前で掲載されています。Yellow Weasel Snout ー イエロー・ウィーゼル・スナウト。植物としての和名はわかりませんが、直訳すれば、黄色のイタチの鼻。う〜ん、イタチの鼻に例えるには、かわいらしすぎる色と形です。

アーチエンジェルとは、キリスト教では、位の高い天使、大天使を意味するようです。黄色い冠をかぶり、緑の翼をもった天使のようにも見えませんか? 個人的には、こちらの方が好きです。私の持っている現代の植物図鑑には、イエロー・アーチエンジェルの名前で掲載されています。ラテン語の学名は変わらずとも、日常に使う呼び名は、時代とともに変わっていくこともあるのでしょうね。

よく似た外観をもつ、白い斑が緑の葉に入った、Variegated Yellow Archangel(斑入りイエロー・アーチエンジェル)があります。これは、園芸用に交配された種類ですが、種があちこちに飛んで簡単に増えていくので、庭や公園を越えて野性化しているそうです。野草保護団体の一つ、Plantlifeが、他の野草を侵害する植物として警告しています。(1981年に発布された英国の野性生物および田園地帯に関わる法令の中にあると書いてあるのですが、見つけられませんでした)

我が家の近くに、数十年前まで石灰石の採石場だった場所にできた公園があります。さまざまな草木が茂る、緑豊かな公園ですが、興味深いことに、イエロー・アーチエンジェルや、5月に紹介した、ハーブ・パリスなどは、まったく見かけません。

大昔に誕生した小さな森が、長い時間をかけてさまざまな植物や動物たちが加わったり、消えていったりしながら、現在の森を作り上げてきたわけです。その中でイエロー・アーチエンジェルは、古代の森の証となる植物と言われているのは、ずっと昔から、森と一緒に生存してきたからでしょうね。




2014年4月6日日曜日

切り絵:森に春が訪れた

暦は既に4月、早春は過ぎ去ってしまいましたが、残り香(笑)として最近の切り絵作品を紹介します。

森は、植物や動物たちを厳しい冬から守ってくれました。この冬は、比較的穏やかではありましたが。春の花達は、森の周りの陽当たり良い場所から、待ちきれないように我れ先にと咲き始めます。プリムラの優しい控えめなクリーム色の花、スノードロップの清楚な白い花、明るい黄色で気持ちも明るくしてくれるスイセン、その脇で私たちもよ、と主張するような鮮やかなレモン色のレッサーセランディン、そして何だかマイペースなクロッカス。彩りの増えた森はにぎやかになり、動物たちも春の訪れをしっかり感じて動き始めました。



Early Spring Woodland (A3, from original paper cut, processed with GIMP, 2014)

森に春が訪れた1   2014 (A3紙、切り絵原版からGIMP加工)