2016年4月1日金曜日

卯月*4月 マムシアルム Lords and Ladies

卯月*4月

マムシアルム
Lords and Ladies

優雅な衣をまとった貴人

生育場所:半日陰の湿った地面(生垣、森など)
地域:英国全域

Arum maculatum
Order: Alismatales
Family: Araceae
Genus: Arum



3月のヒメリュウキンカに引き続き、4月も再び、日陰でたくましく育つ植物の紹介。

今年の春分節気は4月4日まで。4月5日からは、「清明」、春の清らかで生き生きした様子を表しているそうです。4月の天気は不安定です。日本の「春しぐれ」のような通り雨が度々あって、傘を持たずに出かけた際にはびしょ濡れになることもありますが、地面から育ち始めたばかりの植物にとっては恵みの雨です。

マルシアルムは、サトイモ科の野草です。食用のサトイモやコンニャクイモより、観賞用のアンスリウムを見ると、同じ系統の植物だとわかります。葉の形(葉の元がふたまたに分かれ、先が尖っている)や花が似ています。特に、花びらのように見えるのは、実は、仏炎苞(ぶつえんほう)、そして真ん中の、マッチ棒か、線香花火の大きい版のようなものは、肉穂花序と呼ばれるそうです。

つやつやした鮮やかな緑の葉は、実は食べられません。口にすると、非常に酸っぱく、口がヒリヒリしたり、胃腸をこわす原因になります。(原っぱでよく見かけるsorrel、スイバも酸味が強いですが、サラダに入れたり、炒めたり食用として知られています)そして、秋になると、オモトによく似た朱色のトウモロコシ風の実がなりますが、毒があります。(Poison Garden WebsiteRHS: Arum Maculatum)

ヒメリュウキンカと同様、マムシアルムも日陰で育つ割に、非常に繁殖力が強い野草です。庭にちょろっと生えているのを見つけ、そのままにしておいたら、いつの間にか、いたるところに増えてしまいました。うちの庭は、マムシアルム、ヒメリュウキンカ、それにスミレ(early dog violet)が、いたるところの隙間にびっしりと生えています。野草は大好きですが、あまりにびっしり生えると、地面は根でいっぱい、他の植物が窮屈さに悲鳴を上げてしまわないように、今年は、なんとか手を打たねば。

お馴染みになった、シセリー・メアリー バーカー(Cicely Mary Barker)の『花の精:春編』にも、登場します。小さく、素朴な野草が多い中、マムシアルムの装いは、少し気取って貴人のようです。(Cicely Mary Barker, The Complete Book of the Flower-Fairies, Warne, 2002).

ちょっと時間的に余裕があるので、手短に詩の要約を。(と思ったら、もう4月に入ってしまいました)

マムシアルムの精の歌:
私は、フォックスグローブ(別名キツネノコブクロ)のような鈴や、バラのような花びらを持っていない
イングランド*の方々を探してみたら、花びらや鈴やらカップをたずさえた花はいっぱい見つかるでしょう
でも、私のような花はありません

温室には、私の親戚たちが住んでいます
アンスリュームは、白くて繊細、
私は、そんなに背も高くなければ、風格もないけれど、
一風変わった帽子は私のもの、
それに艶やかな葉は立派でしょう
私の花穂は、あなたの目を引くでしょう
そして9月には見事な実をつけますからね
(でも、**ご注意を!)



*英国には、中心にイングランド、北にスコットランド、西にウェールズ、アイルランドに北アイルランドがあります

**赤い実には猛毒があるため



The Song of THE LORDS AND LADIES FAIRY
Here's the song of Lords-and-Ladies
(in the damp and shade he grows):
I have neither bells nor petals,
like the foxglove or the rose,
Through the length and breadth of England,
many flowers you may see---
Petals, bells, and cups in plenty---
but there's no one else like me.

In the hot-house dwells my kinsman,
Arum-lily, white and fine;
I am not so tall and stately,
but the quaintest hood is mine;
And my glossy leaves are handsome;
I've a spike to make you stare;
And my berries are a glory in September.
(BUT BEWARE!)




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